2016年 08月 01日
” おかえり フジタ ” |
7月30日, 31日
毎夏恒例の大原美術館美術講座、今年のテーマは「おかえり フジタ 」
5人の先生方(柳沢秀行氏、林洋子氏、木島隆康氏、高階秀嗣氏、鹿島茂氏)の講演と講師全員による総合討議というプログラム。
今年は藤田嗣治の生誕130年に当たる。フジタは1920年代のパリで「乳白色の下地」という独特の技法を生み出し活躍。エコール・ド・パリで異彩を放った唯一の東洋系画家であった。二つの世界大戦を経験する激動の20世紀、画家もまた時代に翻弄されながらも本業である画業を軸に、手仕事、写真、染色、民芸など多方面にわたって表現の幅を広げている。
今回の講座は昨年、東京芸術大学教授、木島隆康氏によって修復された大原美術館所蔵の1925年の作品「舞踏会の前」を中心に、フジタの生涯にわたるパリでの画業と生活を紹介するというものだった。
今回,一番聞きたかった講座は、修復を手掛けられた木島先生のお話であり
目視観察、紫外線撮影、赤外線撮影、X線撮影、などによる現状把握。画家の技法や画材成分についての科学的分析。絵表面の汚れ落とし、ワニス除去、以前の修復部を除きできるだけオリジナルを出そうとする注意深い作業にはじまり、損傷部分の充填と補彩といった修復工程が画像を使って詳細に解説された。
この修復を通して明らかになった乳白色を出すための画材研究、あるいは繊細な線描や無光沢のつるっとした肌の表現や滑らかなグラデーションはどのようにして得られたのだろうという解明がなされたのは興味深い。
タルク(珪酸マグネシウム)の使用、水溶性の墨の使用、シルバーホワイトによる地塗り、油性絵の具と水溶性の墨との併用のための工夫など次々と明かされていく画法解説には説得力があり興味深く聞くことができた。(ちなみにタルクとはベビーパウダーの成分)
異国に永住、彼の地で眠ることになったフジタだが、その作品の中に日本人としてのアイデンティティーが感じられ感慨深い。
この講座では聴講券で美術館への入場が出来る。
実を言うと地元の美術館でもあり以前に何度もこの「舞踏会の前」は目にしており、どこがいいのかわからない、なんとなく鈍い・・・・というのが私の持っていた印象だったのだが、今回、この作品の前に立って、鮮明に蘇り、息を吹き込まれた作品に驚き、あらためてフジタ作品をもっと見てみたいという気持ちになったのだった。今、兵庫県立美術館でも藤田嗣治展をやっている。是非行ってみたい。
おことわり:画像は折れ線が入ってしまった講座案内です。
毎夏恒例の大原美術館美術講座、今年のテーマは「おかえり フジタ 」
5人の先生方(柳沢秀行氏、林洋子氏、木島隆康氏、高階秀嗣氏、鹿島茂氏)の講演と講師全員による総合討議というプログラム。
今年は藤田嗣治の生誕130年に当たる。フジタは1920年代のパリで「乳白色の下地」という独特の技法を生み出し活躍。エコール・ド・パリで異彩を放った唯一の東洋系画家であった。二つの世界大戦を経験する激動の20世紀、画家もまた時代に翻弄されながらも本業である画業を軸に、手仕事、写真、染色、民芸など多方面にわたって表現の幅を広げている。
今回の講座は昨年、東京芸術大学教授、木島隆康氏によって修復された大原美術館所蔵の1925年の作品「舞踏会の前」を中心に、フジタの生涯にわたるパリでの画業と生活を紹介するというものだった。
今回,一番聞きたかった講座は、修復を手掛けられた木島先生のお話であり
目視観察、紫外線撮影、赤外線撮影、X線撮影、などによる現状把握。画家の技法や画材成分についての科学的分析。絵表面の汚れ落とし、ワニス除去、以前の修復部を除きできるだけオリジナルを出そうとする注意深い作業にはじまり、損傷部分の充填と補彩といった修復工程が画像を使って詳細に解説された。
この修復を通して明らかになった乳白色を出すための画材研究、あるいは繊細な線描や無光沢のつるっとした肌の表現や滑らかなグラデーションはどのようにして得られたのだろうという解明がなされたのは興味深い。
タルク(珪酸マグネシウム)の使用、水溶性の墨の使用、シルバーホワイトによる地塗り、油性絵の具と水溶性の墨との併用のための工夫など次々と明かされていく画法解説には説得力があり興味深く聞くことができた。(ちなみにタルクとはベビーパウダーの成分)
異国に永住、彼の地で眠ることになったフジタだが、その作品の中に日本人としてのアイデンティティーが感じられ感慨深い。
この講座では聴講券で美術館への入場が出来る。
実を言うと地元の美術館でもあり以前に何度もこの「舞踏会の前」は目にしており、どこがいいのかわからない、なんとなく鈍い・・・・というのが私の持っていた印象だったのだが、今回、この作品の前に立って、鮮明に蘇り、息を吹き込まれた作品に驚き、あらためてフジタ作品をもっと見てみたいという気持ちになったのだった。今、兵庫県立美術館でも藤田嗣治展をやっている。是非行ってみたい。
by blue-robin2
| 2016-08-01 18:11
| 美術工芸
|
Comments(2)
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by
timata-sn at 2016-08-01 21:13
blue-robin2さん こんばんは
今日も良いお天気でした、暑かったですね。
大原美術館の講座を受けに行かれたのですね。
5人の講演と講師全員の総合討議を聞かれたのですね。
私には不勉強で解りませんが、興味を持って聞かれる
blue-robinさんは素晴らしいですよ!!
今日も良いお天気でした、暑かったですね。
大原美術館の講座を受けに行かれたのですね。
5人の講演と講師全員の総合討議を聞かれたのですね。
私には不勉強で解りませんが、興味を持って聞かれる
blue-robinさんは素晴らしいですよ!!
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by
blue-robin2 at 2016-08-03 08:41
timata-snさん おはようございます。
今朝もせみがにぎやかです。
この講座、今年で42回目だそうです。こちらに転勤してきて間もなくからですから私が聴講するようになってからもう30年、よほどの予定がはいらない限り毎年参加してます。暑い夏のひと時の頭の体操です。
今朝もせみがにぎやかです。
この講座、今年で42回目だそうです。こちらに転勤してきて間もなくからですから私が聴講するようになってからもう30年、よほどの予定がはいらない限り毎年参加してます。暑い夏のひと時の頭の体操です。