2016年 03月 17日
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★ 『台湾紀行』 司馬遼太郎
「国家とは何か、というよりその起源論を頭におきつつ台湾を考えたい~」という書き出しで始まる台湾紀行。氏が2度に渡りこの島に足を踏み入れたのは今から二十数年前、李登輝総統時代の台湾であった。
近くの島でありながら、漠然とした知識しかなかったが、中身の濃い紀行文をよんで、
古くは無主の島であった台湾に大航海時代に先ずはオランダが上陸。。漢民族政権をつくった鄭成功の短い台湾統治、その後、中国の清時代の10年は省となって中国に組み込まれ、日清戦争後の50年、日本の統治下におかれた。戦後は中国から中華民国そのものがやってきて・・・・といった政治的不条理の中で民は高水準な経済社会を構築し今に至っているといった流れを確認できた。
文中とくに興味深く読んだのは、日本統治下時代のことであった。多くの台湾の人々が日本の大学で学び、李登輝氏を始め台湾の戦後に尽くしたこと。あるいは葉盛吉の様に思想の違いから粛清されたこと。また、アヘン撲滅と衛生行政、上下水道の整備につくした後藤新平、嘉南平野でダム工事をした八田與一、ら多くの日本人の尽力によって、水利、鉄道、郵便、教育環境などが整ったこと。司馬氏はそれら日本人の足跡を訪ね、多くの台湾人と交流している。2度目の旅は高雄から始まる。中華民国による知識人への大弾圧、2.28事件の記念碑を訪ねたり、戦後29年後にインドネシアで見つかった高砂族出身日本軍兵士、スニヨンの生涯について触れ彼らの社会制度に触れている。
「客家」をこの本で知った。ハッカと読み、よそ者といった意味らしい。「中国で4世紀、あるいは9世紀におこった乱を逃れて各地の未開地を開いて住んだ人々で、今は世界各地に広がり、客家語とその文化を共有する人々。漢民族的現実主義から離れ、宙空にある自分の視点を守る人々」。とある。台湾には福建省出身の客家が多く、李登輝氏もまた客家である。
★ 『ケルトの薄明』 イエイツ(井村君江訳)
イエイツが自らみたり、聞いたりした、自然界に満ち満ちた目に見えない存在、この世ならぬもの、妖精たち、の話を集めた本。イエイツによって加筆もされたというケルト民族の想像力の産物である物語の一つ一つを楽しんだ。これらは決して明るい日差しの下ではなく深い森の霧の中であるいは薄明の中から誕生したのであろう。「出版によって、アイルランドの人々に郷土や自然への愛を目覚めさせそれが次第にケルト民族としての信念と誇りを与え・・・・」といった翻訳者のあとがきに説得力を感じ、同時に
日本にもあった語り部たちによって受けつがれたおとぎ話、妖怪の話、消えつつあるそれらに思いがいった。
「国家とは何か、というよりその起源論を頭におきつつ台湾を考えたい~」という書き出しで始まる台湾紀行。氏が2度に渡りこの島に足を踏み入れたのは今から二十数年前、李登輝総統時代の台湾であった。
近くの島でありながら、漠然とした知識しかなかったが、中身の濃い紀行文をよんで、
古くは無主の島であった台湾に大航海時代に先ずはオランダが上陸。。漢民族政権をつくった鄭成功の短い台湾統治、その後、中国の清時代の10年は省となって中国に組み込まれ、日清戦争後の50年、日本の統治下におかれた。戦後は中国から中華民国そのものがやってきて・・・・といった政治的不条理の中で民は高水準な経済社会を構築し今に至っているといった流れを確認できた。
文中とくに興味深く読んだのは、日本統治下時代のことであった。多くの台湾の人々が日本の大学で学び、李登輝氏を始め台湾の戦後に尽くしたこと。あるいは葉盛吉の様に思想の違いから粛清されたこと。また、アヘン撲滅と衛生行政、上下水道の整備につくした後藤新平、嘉南平野でダム工事をした八田與一、ら多くの日本人の尽力によって、水利、鉄道、郵便、教育環境などが整ったこと。司馬氏はそれら日本人の足跡を訪ね、多くの台湾人と交流している。2度目の旅は高雄から始まる。中華民国による知識人への大弾圧、2.28事件の記念碑を訪ねたり、戦後29年後にインドネシアで見つかった高砂族出身日本軍兵士、スニヨンの生涯について触れ彼らの社会制度に触れている。
「客家」をこの本で知った。ハッカと読み、よそ者といった意味らしい。「中国で4世紀、あるいは9世紀におこった乱を逃れて各地の未開地を開いて住んだ人々で、今は世界各地に広がり、客家語とその文化を共有する人々。漢民族的現実主義から離れ、宙空にある自分の視点を守る人々」。とある。台湾には福建省出身の客家が多く、李登輝氏もまた客家である。
★ 『ケルトの薄明』 イエイツ(井村君江訳)
イエイツが自らみたり、聞いたりした、自然界に満ち満ちた目に見えない存在、この世ならぬもの、妖精たち、の話を集めた本。イエイツによって加筆もされたというケルト民族の想像力の産物である物語の一つ一つを楽しんだ。これらは決して明るい日差しの下ではなく深い森の霧の中であるいは薄明の中から誕生したのであろう。「出版によって、アイルランドの人々に郷土や自然への愛を目覚めさせそれが次第にケルト民族としての信念と誇りを与え・・・・」といった翻訳者のあとがきに説得力を感じ、同時に
日本にもあった語り部たちによって受けつがれたおとぎ話、妖怪の話、消えつつあるそれらに思いがいった。
by blue-robin2
| 2016-03-17 23:59
| 本