2011年 07月 28日
「蜂蜜」 |
7月27日
今回はトルコ映画界を代表するというセミフ・カプランオール脚本、監督作品「蜂蜜」を鑑賞。
2007年制作「卵」。その主人公ユスフの青年期を描いた2008年「ミルク」。そして「ミルク」制作途中で幼少年期のユスフに思いをはせて誕生したのが2010年制作の今回の作品「蜂蜜」
幻想的な森を舞台に自然と一体となって生活する家族。抒情的な自然描写と鳥のさえずり、木のきしみ、雨音,蜂の羽音、といった自然の音のみで制作。セリフも極端に少ないこの作品は幼いユスフを、彼の目、動きを通して描き、深く心に訴えかけてくる。
吃音障害をもつユスフは深い森で養蜂家の父からの細やかな愛情に包まれて暮らしている。ある日、彼らの糧である森の蜂が忽然と姿を消し、蜂を求めて森の奥深く入った父はそのまま帰ってこなくなり、その日を境にユスフの言葉が失われ、母親も悲しみにくれる。カメラは言葉を発しないユスフの後姿を丁寧に追いかけることで言葉以上の迫力で、親子の絆、詩(言葉)への憧れ、嫉妬、子供らしい期待と焦り、優しさ、思いやり、少年の心に芽生えた自立への自覚といったものを伝え、見る者の心に感動を呼び起こす。
母を励まそうと嫌いだったミルクを黙って飲むシーンなど、子供のけなげな心の動きが痛いほど伝わる。父の消えた森へ、たった一人で入り、森に包まれるという場面で映画は終わる。唐突な終わり方にちょっと戸惑ったがこの子もまた森と一体になった人生を送るのだろうか~~。
それとも・・・
結果的にユスフを描いた三部作となったとはいえ、先に作られたという2作を私は見ていないのでどんな展開があるのかは知らない。しかし、物語性をこえたところ、だれにでもある純粋な幼年時代の心の機微を描いたという点でこれだけで独立した作品である。
★画像はシネマクレール丸の内でいただいたチラシのコピーです。
今回はトルコ映画界を代表するというセミフ・カプランオール脚本、監督作品「蜂蜜」を鑑賞。
2007年制作「卵」。その主人公ユスフの青年期を描いた2008年「ミルク」。そして「ミルク」制作途中で幼少年期のユスフに思いをはせて誕生したのが2010年制作の今回の作品「蜂蜜」
幻想的な森を舞台に自然と一体となって生活する家族。抒情的な自然描写と鳥のさえずり、木のきしみ、雨音,蜂の羽音、といった自然の音のみで制作。セリフも極端に少ないこの作品は幼いユスフを、彼の目、動きを通して描き、深く心に訴えかけてくる。
吃音障害をもつユスフは深い森で養蜂家の父からの細やかな愛情に包まれて暮らしている。ある日、彼らの糧である森の蜂が忽然と姿を消し、蜂を求めて森の奥深く入った父はそのまま帰ってこなくなり、その日を境にユスフの言葉が失われ、母親も悲しみにくれる。カメラは言葉を発しないユスフの後姿を丁寧に追いかけることで言葉以上の迫力で、親子の絆、詩(言葉)への憧れ、嫉妬、子供らしい期待と焦り、優しさ、思いやり、少年の心に芽生えた自立への自覚といったものを伝え、見る者の心に感動を呼び起こす。
母を励まそうと嫌いだったミルクを黙って飲むシーンなど、子供のけなげな心の動きが痛いほど伝わる。父の消えた森へ、たった一人で入り、森に包まれるという場面で映画は終わる。唐突な終わり方にちょっと戸惑ったがこの子もまた森と一体になった人生を送るのだろうか~~。
それとも・・・
結果的にユスフを描いた三部作となったとはいえ、先に作られたという2作を私は見ていないのでどんな展開があるのかは知らない。しかし、物語性をこえたところ、だれにでもある純粋な幼年時代の心の機微を描いたという点でこれだけで独立した作品である。
★画像はシネマクレール丸の内でいただいたチラシのコピーです。
by blue-robin2
| 2011-07-28 12:10
| 映画 演劇 コンサート
|
Comments(2)
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by
あんず
at 2011-07-28 13:13
x
こんにちは。
何時も素晴らしい映画鑑賞をなさっているようですが、今回の舞台も森の美しい光景を思い浮かべます。
特に子供や動物が拘わってくる作品はとても心に沁みるものがありますよね。
夫の実家でミツバチを飼っていた時期もあって、この蜂の役割も最近になって分かり、蜂を見直していた所です。
蜂がいなくなるって所は身につまされます。
ここらでも、そうなんですよ。
何時もNakatsujiさんの鑑賞されてる映画は私の興味をひくものが多いのですが、これは地域でしか上映されないものなのでしょうか。
この時期暑いですので、涼しい映画館で映画鑑賞も良いですね。
何時も素晴らしい映画鑑賞をなさっているようですが、今回の舞台も森の美しい光景を思い浮かべます。
特に子供や動物が拘わってくる作品はとても心に沁みるものがありますよね。
夫の実家でミツバチを飼っていた時期もあって、この蜂の役割も最近になって分かり、蜂を見直していた所です。
蜂がいなくなるって所は身につまされます。
ここらでも、そうなんですよ。
何時もNakatsujiさんの鑑賞されてる映画は私の興味をひくものが多いのですが、これは地域でしか上映されないものなのでしょうか。
この時期暑いですので、涼しい映画館で映画鑑賞も良いですね。
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by
blue-robin2 at 2011-07-28 15:57
あんずさん こんにちは
この映画、導入部に結末を予想させるかのようにハチを探しに行った父親が高い木の上にハチの巣を見つけ綱を掛けて登る途中で、ハプニングがあり・・・といったところから始まります。どうなるんだろうと思ったとたんに配役等の字幕が流れだすという変わった構成です。
この子役、ボラ・アルタッシュの自然な演技が光っています。
私はいつもの映画館、岡山市内のシネマクレールでしたが、多分全国的にもまだ公開されて間がない映画であり、しかも金熊賞をはじめ多くの賞をとった映画でもあるので、あんずさんのお近くでも上映されるかもしれませんね。展開はそうドラマチックというわけではありませんが
少年の心模様が伝わってくる味わいある映画だと思います。
この映画、導入部に結末を予想させるかのようにハチを探しに行った父親が高い木の上にハチの巣を見つけ綱を掛けて登る途中で、ハプニングがあり・・・といったところから始まります。どうなるんだろうと思ったとたんに配役等の字幕が流れだすという変わった構成です。
この子役、ボラ・アルタッシュの自然な演技が光っています。
私はいつもの映画館、岡山市内のシネマクレールでしたが、多分全国的にもまだ公開されて間がない映画であり、しかも金熊賞をはじめ多くの賞をとった映画でもあるので、あんずさんのお近くでも上映されるかもしれませんね。展開はそうドラマチックというわけではありませんが
少年の心模様が伝わってくる味わいある映画だと思います。