2017年 02月 19日
講演会 |
2月18日
今年27期目を迎えるという市民文化大学受講を初めて申し込んだ。
全10回、様々な分野の専門家を招いての1時間30分の講座だが、
そう堅苦しくもなく、バラエティーに富んだ内容が聞けそうなのだ。
初回は「TVの中から見えること」と題した橋本大二郎氏の講演だった。自己紹介に続いて、業界用語にとまどったエピソードなどを交えながら62歳にして20年ぶりにTVに復帰した感想と民放という業界の特徴などについて語る業界編、「他人ごとではない」というテーマでキャスターとして日々接する国内の様々な問題の中から、災害と高齢社会の問題点を語る国内編、そして、海外編と題して現在世界で話題になっている二人の人物についてかたる海外編・・・と、盛りだくさんな内容で、そう深くはなかったがテーマにそって時間内にきちんと整理されていたことと、語り口のよどみなさはさすがはキャスターという職業のなせる技という印象を持った。
次回、3月は鈴木大地氏。どんな話が聞けるのか楽しみだ。
最近読んだ本より~~
● 吉村昭 著 「脱出」
表題作の「脱出」他、4篇の短編集でいずれも太平洋戦争終戦前後の実際にあった話をテーマに書かれている。以前に読んだ「漂流」で周到な下調べに基づくフィクションのおもしろさを十二分に味わえたのを思い出し今回も期待して読んだ。
昭和20年の敗戦へと向かう日本の辺境に生きた少年たちを主人公に歴史の転換点に目を向けた作品集。
「脱出」 :ソ連参戦を受けその恐怖から逃れるべく南樺太から封鎖された宗谷海峡を脱出して北海道へと向かった一漁村の人々の危険な逃避行。
「焔髪」:差し迫った空襲から仏像を守ろうと行われた疎開作業の顛末。かかわったのは僧侶と囚人であった。当時男たちはみな戦場へ。この大事な作業に駆り出せるのは塀の中で守られていた囚人ということだったのだ。高く手をあげ焔髪を逆立てた三月堂の阿形像をふと思い出した。
「鯛の島」 :舞台は瀬戸内海の島。前借金を親に渡し5~10年の年季奉公として住み込みで厳しく仕込まれる「楫子」は漁師にとって鯛漁に欠かせない存在であった。終戦直後、二人の少年の逃走をきっかけにその制度が進駐軍に目を付けられ民主主義の名のもとに多くの規制をかけられることになる。古くから当たり前のようになっていた様々な風習が良くも悪くも変化していく様が一人の郵便配達の少年の目を通して描かれる。
「他人の城」 :沖縄から本土への疎開船、対馬丸の沈没事故で漂流の果てに助かった一中学生を主人公に居場所をなくした島民の戦後をテーマにしている。
珊瑚礁 :終戦直前のサイパンが舞台。アメリカ軍の上陸にともなう島民たちの山への逃避行。過酷な彼らの運命を描く。
● 中勘助 著 「銀の匙」
古い茶ダンスの引き出しにあった思い出の品々。中から出てきた1本の銀の匙
それは伯母さんが病弱だった私の口に薬を含ませるために使っていた匙であった。
銀の匙をきっかけに蘇る自身の幼児期から青年期までの思い出がつづられている。
伯母さんの愛情を受けて育った幼児期の日常と数々の趣向あふれる遊び。隣のお国さんと遊んだ楽しく穏やかな日々、なかなか馴染めなかった小学校への入学、引っ越してきたお恵ちゃんへの淡い思い、自然の中で次第に少年らしい遊びに興じるようになった日々・・・・兄との確執・・・伯母さんとの再会・・
作家にとって処女作ともいえるこの本一冊で作家像はわかりはしないが、日常世界を描きだす優しい流れるような文面が当時の素朴でいて工夫に満ち溢れた世界へと読むものをいざない、昭和20年代の私自身の子供時代と重なるような懐かしさもあり、終始豊かな気分で読み進めた。
今年27期目を迎えるという市民文化大学受講を初めて申し込んだ。
全10回、様々な分野の専門家を招いての1時間30分の講座だが、
そう堅苦しくもなく、バラエティーに富んだ内容が聞けそうなのだ。
初回は「TVの中から見えること」と題した橋本大二郎氏の講演だった。自己紹介に続いて、業界用語にとまどったエピソードなどを交えながら62歳にして20年ぶりにTVに復帰した感想と民放という業界の特徴などについて語る業界編、「他人ごとではない」というテーマでキャスターとして日々接する国内の様々な問題の中から、災害と高齢社会の問題点を語る国内編、そして、海外編と題して現在世界で話題になっている二人の人物についてかたる海外編・・・と、盛りだくさんな内容で、そう深くはなかったがテーマにそって時間内にきちんと整理されていたことと、語り口のよどみなさはさすがはキャスターという職業のなせる技という印象を持った。
次回、3月は鈴木大地氏。どんな話が聞けるのか楽しみだ。
最近読んだ本より~~
● 吉村昭 著 「脱出」
表題作の「脱出」他、4篇の短編集でいずれも太平洋戦争終戦前後の実際にあった話をテーマに書かれている。以前に読んだ「漂流」で周到な下調べに基づくフィクションのおもしろさを十二分に味わえたのを思い出し今回も期待して読んだ。
昭和20年の敗戦へと向かう日本の辺境に生きた少年たちを主人公に歴史の転換点に目を向けた作品集。
「脱出」 :ソ連参戦を受けその恐怖から逃れるべく南樺太から封鎖された宗谷海峡を脱出して北海道へと向かった一漁村の人々の危険な逃避行。
「焔髪」:差し迫った空襲から仏像を守ろうと行われた疎開作業の顛末。かかわったのは僧侶と囚人であった。当時男たちはみな戦場へ。この大事な作業に駆り出せるのは塀の中で守られていた囚人ということだったのだ。高く手をあげ焔髪を逆立てた三月堂の阿形像をふと思い出した。
「鯛の島」 :舞台は瀬戸内海の島。前借金を親に渡し5~10年の年季奉公として住み込みで厳しく仕込まれる「楫子」は漁師にとって鯛漁に欠かせない存在であった。終戦直後、二人の少年の逃走をきっかけにその制度が進駐軍に目を付けられ民主主義の名のもとに多くの規制をかけられることになる。古くから当たり前のようになっていた様々な風習が良くも悪くも変化していく様が一人の郵便配達の少年の目を通して描かれる。
「他人の城」 :沖縄から本土への疎開船、対馬丸の沈没事故で漂流の果てに助かった一中学生を主人公に居場所をなくした島民の戦後をテーマにしている。
珊瑚礁 :終戦直前のサイパンが舞台。アメリカ軍の上陸にともなう島民たちの山への逃避行。過酷な彼らの運命を描く。
● 中勘助 著 「銀の匙」
古い茶ダンスの引き出しにあった思い出の品々。中から出てきた1本の銀の匙
それは伯母さんが病弱だった私の口に薬を含ませるために使っていた匙であった。
銀の匙をきっかけに蘇る自身の幼児期から青年期までの思い出がつづられている。
伯母さんの愛情を受けて育った幼児期の日常と数々の趣向あふれる遊び。隣のお国さんと遊んだ楽しく穏やかな日々、なかなか馴染めなかった小学校への入学、引っ越してきたお恵ちゃんへの淡い思い、自然の中で次第に少年らしい遊びに興じるようになった日々・・・・兄との確執・・・伯母さんとの再会・・
作家にとって処女作ともいえるこの本一冊で作家像はわかりはしないが、日常世界を描きだす優しい流れるような文面が当時の素朴でいて工夫に満ち溢れた世界へと読むものをいざない、昭和20年代の私自身の子供時代と重なるような懐かしさもあり、終始豊かな気分で読み進めた。
by blue-robin2
| 2017-02-19 11:26
| 本
|
Comments(8)
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timata-sn at 2017-02-19 21:33
blue-robin2さん こんばんは
今日も良いお天気で、お昼は暖かでしたよ。
市民文化大学を受講されたのですね。
今回の講演は橋本大二郎氏だったのですね。
1時間30分の講演を聞かれたのですね。
多岐にわたってのお話が有った様ですね。
読書もされて居たのですね。
色んな内容のの様ですね、読まれた内容を事細かに書いて
居られるのを見て、唯々感心して居る所です。
素晴らしい事ですね!!
今日も良いお天気で、お昼は暖かでしたよ。
市民文化大学を受講されたのですね。
今回の講演は橋本大二郎氏だったのですね。
1時間30分の講演を聞かれたのですね。
多岐にわたってのお話が有った様ですね。
読書もされて居たのですね。
色んな内容のの様ですね、読まれた内容を事細かに書いて
居られるのを見て、唯々感心して居る所です。
素晴らしい事ですね!!
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nonkonogoro at 2017-02-21 08:55
まあ 有名所がいっぱい~で
楽しいお話が聞けそうですね。
橋本大二郎さん
県知事をされていたことは知っていますが
その前はNHKにお勤めだったのは
知りませんでした。
「銀の匙」
面白そうなので 早速図書館予約しました。(^^)/
楽しいお話が聞けそうですね。
橋本大二郎さん
県知事をされていたことは知っていますが
その前はNHKにお勤めだったのは
知りませんでした。
「銀の匙」
面白そうなので 早速図書館予約しました。(^^)/
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blue-robin2 at 2017-02-21 12:33
timata-snさん こんにちは
今年初めてこの一年10回の講座に申し込みました。
登壇者の顔触れがなかなか面白そうと思ったからです。
TVなどでも、また新聞を通してもよく目にし耳にするお話ではあるんでしょうが、直に聞くというのもたまにはいいかなと思いました。
単なる内容の読書メモですが、残すのもいいかなと・・・
今年初めてこの一年10回の講座に申し込みました。
登壇者の顔触れがなかなか面白そうと思ったからです。
TVなどでも、また新聞を通してもよく目にし耳にするお話ではあるんでしょうが、直に聞くというのもたまにはいいかなと思いました。
単なる内容の読書メモですが、残すのもいいかなと・・・
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blue-robin2 at 2017-02-21 12:53
nonさん こんにちは
橋本さんは昔NHKで宮内庁担当などをされていました。
知事をつとめられた後、TV朝日に要請されてキャスターになったそうです。TVではどのチャンネルを回してもおなじ内容ということがよくあって見る側は変わり映えのなさにうんざりですがNHKとちがってスポンサーに支えられている民放では、視聴率に非常に敏感で、それゆえ視聴率をとれるものに集中するのだといった内情も話されなかなか面白かったです。
「銀の匙」という題名、読んだことはありませんが、学園漫画にもありますよね。
こちらは、明治時代の小説家、中勘助の回想録で、子供のころの日常と感性が凝縮されています。。最近になって文庫として出ました。
紹介によると、昭和20年代から50年代まで灘中学校の橋本武氏によって国語の教材として取り上げられ、偏向教育にならない配慮もされつつ教科書化されていたとのことでした。
橋本さんは昔NHKで宮内庁担当などをされていました。
知事をつとめられた後、TV朝日に要請されてキャスターになったそうです。TVではどのチャンネルを回してもおなじ内容ということがよくあって見る側は変わり映えのなさにうんざりですがNHKとちがってスポンサーに支えられている民放では、視聴率に非常に敏感で、それゆえ視聴率をとれるものに集中するのだといった内情も話されなかなか面白かったです。
「銀の匙」という題名、読んだことはありませんが、学園漫画にもありますよね。
こちらは、明治時代の小説家、中勘助の回想録で、子供のころの日常と感性が凝縮されています。。最近になって文庫として出ました。
紹介によると、昭和20年代から50年代まで灘中学校の橋本武氏によって国語の教材として取り上げられ、偏向教育にならない配慮もされつつ教科書化されていたとのことでした。
新学期を迎え自治体の動きも活発ですね~
分野の異なる専門家の講演は好奇心を誘われますよね。
見方や立場が違うと見えてくるものにも新鮮な発見があるかも~です。
鈴木大地さん、講演される立場になられたんですね、一世を風靡した方がどんな話をされるか・・楽しみですね~♪
分野の異なる専門家の講演は好奇心を誘われますよね。
見方や立場が違うと見えてくるものにも新鮮な発見があるかも~です。
鈴木大地さん、講演される立場になられたんですね、一世を風靡した方がどんな話をされるか・・楽しみですね~♪
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blue-robin2 at 2017-02-21 22:38
白いねこさん こんばんは
毎夏、大原美術館の講座を受けますが、結構専門的でまさに講座という感じ。今回のはちょっと趣が違ってなかなかおもしろそうです。
鈴木大地さんは金メダリストから指導者の立場になられ、さらに生活習慣と健康状態といったことをテーマにした研究で博士号も持っておられますよね。どんな話が飛び出すか楽しみです。
毎夏、大原美術館の講座を受けますが、結構専門的でまさに講座という感じ。今回のはちょっと趣が違ってなかなかおもしろそうです。
鈴木大地さんは金メダリストから指導者の立場になられ、さらに生活習慣と健康状態といったことをテーマにした研究で博士号も持っておられますよね。どんな話が飛び出すか楽しみです。
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koba222 at 2017-02-22 16:23
市民文化大学受講されたのですね。
福岡も以前から現在もあってます。
私は過去3年ほど受講しました。
毎月有名人の語りに聞き入ったものでした。
その道にすぐれたることだけあり
説得力がありますね。
福岡も以前から現在もあってます。
私は過去3年ほど受講しました。
毎月有名人の語りに聞き入ったものでした。
その道にすぐれたることだけあり
説得力がありますね。
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blue-robin2 at 2017-02-23 08:01
koba222さん おはようございます
どの地方自治体にもあるようですね。
今までは夏の美術講座だけで十分でしたが、こちらも
メンバーの顔触れが幅広くなかなかそろってると思い今年から受講することにしました。
どの地方自治体にもあるようですね。
今までは夏の美術講座だけで十分でしたが、こちらも
メンバーの顔触れが幅広くなかなかそろってると思い今年から受講することにしました。